横浜嚥下研究会

脳卒中嚥下障害患者の経腸栄養導入時期と経管ルートの検証

嚥下障害患者にどのタイミングでどのような栄養方法および経路を選ぶべきかは臨床の人間にとって悩みのタネだと思います。
lancetからこのような論文を見つけましたのでご紹介します。ただし私の翻訳だと怪しいのでご自身で原著をご確認下さい。

title
『Effect of timing and method of enteral
tube feeding for dysphagic stroke patients
(FOOD): a multicentre randomised
controlled trial.』

タイトル
『脳卒中嚥下障害患者の経腸栄養導入時期と経管ルートの検証:
多施設無作為比較試験。FOOD トライアル』


Abstract:要旨
【background:背景】
低栄養は脳卒中で入院する患者において頻度が高い。我々は、脳卒中後の経腸栄養導入の時期と経管ルートが6ヵ月後の患者の転帰へどう影響を及ぼしたかについて検証した。

【methods:方法】
FOODトライアルは3つの多施設無作為比較研究から成る。そのうち2つの研究は脳卒中嚥下障害患者を含んでいる。もう1つの研究では、7日間の入院期間において経管栄養群と非経管栄養群をランダムに割り当てている。また、患者は経皮的内視鏡胃瘻(PEG)群および経鼻胃管栄養(NG-tube)群に割り当てた。outcomeは、6ヵ月後の死亡もしくは転帰不良(この場合は重症感が強い寝たきり?)とした。転帰不良に関しては治療状況から分析している。

【findings:所見】
1996年11月1日から2003年7月31日までに、15カ国の83の病院によって登録された859症例を早期経管栄養群と非経管栄養群で振り分けている。6か月後の転帰だが早期経管栄養群は、非経管栄養群に対し5.8%の死亡リスク減少と1.2%の転帰不良減少というデータになった。早期PEG群対NG tube群では、11カ国47病院321症例によって検討されている。6か月後の転帰だが早期PEG群は、1.0%の死亡リスク増加と7.8%の転帰不良増加というデータになった。

【interpretation:解釈】
転帰不良でも生存している割合を上昇させることから、早めの経管栄養は6ヶ月後の死亡率を低下させる可能性がある(ただしNG tube)。
我々のデータでは、脳卒中嚥下障害患者に対して早期PEG方針を推奨しないという結論になった。

Lancet. 2005 Feb 26-Mar 4;365(9461):764-72.
英論文はコチラ

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