カプサイシン軟膏を用いた外耳道刺激による嚥下障害患者の嚥下機能改善効果
本日は誤嚥性肺炎予防という観点からの論文紹介です。国立病院機構高知病院耳鼻咽喉科の近藤先生が書かれた研究報告です。外耳道に軟膏を塗って嚥下を良くするなんていう発想は純粋に凄いなあと思いました。唾液誤嚥症例に行うstudyが今後出るといいですね。
★英論文のため、リンクは貼り付けておきますが翻訳は2014年に日耳鼻学会で報告された抄録の内容を掲載させていただきます。
『カプサイシン軟膏を用いた外耳道刺激による嚥下障害患者の嚥下機能改善効果』
国立病院機構高知病院耳鼻咽喉科
近藤英司先生他
【はじめに】
本研究では外耳道刺激が迷走神経を介して咳嗽を誘発することを利用し、カプサイシン軟膏の外耳道刺激による嚥下機能改善効果について検討した。【方法】
嚥下障害患者の一側の外耳道にカプサイシン軟膏を塗布し、塗布前と塗布5分後、1週間の連続塗布後の嚥下機能を比較した。嚥下機能は嚥下内視鏡を用いた兵頭スコアと陣内らのSMRCスケールを用いて評価した。【結果】
兵頭スコアの合計点は塗布前に比し、塗布5分後、塗布1週間後は有意に低下し嚥下機能が改善した。SMRCスケールは塗布5分後、1週間連続塗布後に声門閉鎖反射、咳嗽反射の有意な改善を示した。【考察】
英論文:カプサイシン軟膏を用いた外耳道刺激による嚥下障害患者の嚥下機能改善効果
カプサイシン軟膏の外耳道刺激が嚥下障害患者の声門閉鎖反射や咳嗽反射を改善し、その結果嚥下機能が改善したと考えられた。ACE阻害薬は副作用である咳嗽反射により、嚥下機能を改善し嚥下性肺炎の罹患率を減少させると報告されている。このことからカプサイシン軟膏による外耳道刺激が嚥下性肺炎予防に有効である可能性が示唆された。