横浜嚥下研究会

嚥下障害に対する薬物治療の現状と将来展望

今日はVEで有名な高知大の兵頭先生が書かれた論文をご紹介させて頂きます。英論文だったため、私の脳味噌だとアブストラクトを読むのが限界でした。間違った表現があるかもしれませんがお許し下さい。

『嚥下障害に対する薬物治療の現状と将来展望』
高知大耳鼻咽喉科:兵頭政光先生

近年、嚥下障害はますます重要な臨床問題になった。嚥下障害患者の治療の目的は、経口摂取の確立と誤嚥性肺炎の予防である。そしてリハビリテーションと外科的な介入は、現在の基本的な治療戦略である。加えて、薬理学的治療という選択肢も過去20年の間開発されてきた。

その中でsubstancePは、嚥下または咳嗽反射を誘発するための神経伝達物質としての重要な役割を演ずる。従って、ACE阻害薬、ドーパミン作動薬とカプサイシンはsubstanceP物質の局所蓄積を容易にする。

数ある最近の報告は、これらの薬物療法が肺炎のリスクを低下させることが出来たと述べている。
我々の臨床試験では、嚥下障害患者へカプサイシンを1ヶ月投与することで咽頭収縮と食道上部括約筋機能(輪状咽頭部)が改善した。 また、高齢者においてシロスタゾール(プレタール)、漢方の半夏厚朴湯、黒胡椒と?-メントールによる嗅刺激は誤嚥性肺炎を予防することが報告されている。 しかし、残念ながらこれらの報告の多数は充分な根拠が不足している。

付加的な研究としては、輪状咽頭筋へのボツリヌス毒素注射がある。これは、輪状咽頭部の持続収縮を妨げることによって、開大を容易にさせ嚥下に直接的な影響を及ぼす。 輪状咽頭筋切断術の代替治療ともいえる。

ンフルエンザおよび肺炎球菌ワクチンは誤嚥性肺炎予防に寄与することが報告されており、高齢者へ推奨されている。一方その有効性は未だ考察の対象でもある。

結論として、嚥下障害の薬理学的治療は新しい研究テーマといえる。それは嚥下障害患者のための治療的オプションとして大きな可能性を秘めている。今後更なる研究が望まれる。

英論文:嚥下障害に対する薬物治療の現状と将来展望

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