外来指導の手法と診察の流れを教えて下さい
H26.4.26に行われたプレイバックセミナーで会場参加者のSTさんから頂いた質問に回答させて頂きます。
感度、特異度がともに高く、実際の診察時間を短縮することが出来ます。またその時に身長、体重も測っておくと良いでしょう
(BMI、およその1日必要エネルギーを体重×25kcalで算出)。
医師が診察を行っている時、STは出来るだけ立ち会うのが望ましいです。
情報を共有することで診察後の医師とのディスカッション、診察後の外来指導における本人家族への質問重複を避けることが出来ます。
初診時は今後の定期評価のためにもRSST、MWST、FTはとっておくことが良いでしょう。出来ればs-sptも取れるといいですね。
嚥下外来だとVE、VFが行えるので先に喉頭ファイバーで安静時発声時喉頭所見をとり、その後着色水を用いた兵頭スコアを行います。
兵頭スコアは高知大学教授の兵頭政光先生が開発した、VEをより簡便に評価出来る方法です。
兵頭スコアアブストラクト
(http://kaken.nii.ac.jp/d/p/20592020/2010/3/ja.en.html)
S.langmore先生の嚥下内視鏡検査(藤島一郎Dr.訳)では、嚥下内視鏡に精通した検者がVEを行うとVFとの所見一致率は90%以上とのことです。あまりにも所見が悪いならVFまで追う必要はないのかもしれませんね。
VFでは、普段食べている姿勢で評価をとることが重要で、データ無しにいきなり30度頸部前屈にしないことです。VEでリクライニング位に意味があることを証明している場合のみ角度を使えばよろしいかと思います。
出来るだけ自然状況下での評価をもとにbest swallow探しを進めていくことが肝要です。
ただし、検査場面だけが良すぎるbest swallow、検査場面だけが悪過ぎるworst swallowがあることを忘れないで下さい。
VFやVEのデータが揃ったら、指導に入ります。まずは、嚥下障害の重症度、喉頭侵入誤嚥スケール、藤島グレード、摂食レベルを明確にし、わかりやすく患者さんへ伝えます。
この時に側面からの解剖、喉頭の解剖がわかりやすいものを用意しておくと情報が伝わりやすいでしょう。
また、今後もフォローが必要だと判断した場合は外来評価・指導頻度を提案します。やはり重症度が高い症例ほど定期的なフォローが必要だと考えます。
その後撮影したVFVEの映像を呈示し、患者さんおよびご家族の病態理解を深めます。
次にbest swallowが見つかった場合は、そのbest swallowを指導します。姿勢は角度だけの話ではないことを意識して下さい。
筋緊張を生み出さない姿勢は運動を円滑にする要素です。嚥下も運動だという考えが大切ですね。
シーティングはSTが教育を受けていないエリアの一つですから、日々PTさんやOTさんから学ぶことが外来指導の場面で役立つわけです。
食形態、一口量、嚥下法もVFVEのデータを下に設定していきます。
食形態に関しては手作り、手作り以外に関わらず栄養士さんへコンサルトすべきだと考えます。
作り手ならではのアドバイスがありますし、市販品の紹介や、地域の嚥下食宅配サービスなども知っていると思います。
一口量や嚥下法は個人差が大きいのでここでは割愛します。
最後に訓練ですが、在宅での訓練は特に管理が難しく、病院だけの設定で進めていけるとは決っして思えません。
ケアマネさんを中心にして連絡を取り合うことが望ましいと考えます。
また、嚥下訓練という局所概念を捨て、全身のリハビリを提案すること、他職種連携で進めることが成功のカギだと思います。
臨床を学べば学ぶほど、ST単独で嚥下障害に対応することは不可能ですよね
文責:新戸塚病院 リハ科ST 粉川将治