横浜嚥下研究会

唾液処理困難症例へのアプローチ

H26.4.26に行われたプレイバックセミナーで会場のSTさんから頂いた質問に回答します。

唾液処理困難な方へ何かアプローチがあれば教えて下さい
唾液処理困難ということは、唾液誤嚥が常時起きているということですよね。
日本摂食嚥下リハビリテーション学会の会長である才藤先生が嚥下障害の重症度分類を出されているのはご存知だと思います。

http://www.nmckk.jp/pdf.php?mode=puball&category=JJCD&vol=24&no=8&d1=4&d2=3&d3=0

最重度の嚥下障害として扱っているのが唾液誤嚥であり、厳重な医学的管理と述べられています。
実際の対策としては、口腔ケアがメインになるかと思います。
歯牙が残っている方の場合は、歯科医の定期的なフォローが望まれます。
虫歯や歯石、歯周病といったものがある症例は口腔常在菌数が明らかに多いわけですから誤嚥性肺炎の発症リスクが高くなります。
口腔ケアはサブスタンスPの放出を促すというエビデンスがあるそうなので、最後まで諦めずにやり続けることが望ましいと思われます。

それ以外に対応するとしたら、唾液誤嚥症例は嚥下反射惹起不全、下咽頭喉頭気管感覚低下、廃用が間違いなく存在するのでサブスタンスPを放出(シンメトレル)、長持ちさせる(ACE阻害薬)、誤嚥性肺炎予防に一定の効果を示したと言われるスタディ(プレタール、半夏厚朴湯、六君子湯、ガスモチン等)などでしょうか。
STで行えるのはのどのアイスマッサージ、黒こしょうアロマパッチ、カプサイシンフィルム、?-メントールといった東北大の老年科の先生方の研究だと思います。あとは廃用に対して離床させることが一番大事で、座位からの前かがみ(授業中に寝る姿勢)、ベッド上では腹臥位を行うのも有効かと考えます。

ただ、これらはあくまでも机上の理論なのでキレイごとに聞こえるかもしれません。
一番大事なのは、ほぼターミナルであろう症例にどのように関わるか真剣に考える姿勢なのだと思います。自分の親だったらどうするかという考えがあれば大丈夫ですね。

文責:新戸塚病院 リハ科ST 粉川将治

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