横浜嚥下研究会

呼吸器疾患と廃用による嚥下障害

第4回横浜お口のトラブルのみこみ勉強会で会場参加者から頂いた質問に回答させていただきます。

呼吸器疾患+廃用による嚥下障害のある方について質問です。
摂食中に、SPO低下のためその後の摂食を拒否されてしまい中々、摂取量が増加しない方がいます。
CVも併用してますが、ゴール設定はどのうようにすると良いでしょうか?
食事中にSpo2が低下する理由は誤嚥だけではありません。心不全症例では嚥下運動によってSpo2が低下することもあります(誤嚥が無いにも関わらず)。

ご相談されている症例は呼吸器疾患がベースにあるようなので決して肺のコンディションが良い方ではないようです。

肺のコンディションが悪い方の場合も心不全同様にSpo2低下を認めることがあります。やはり機序は心不全同様に運動負荷によるものと考えます。

私自身が仮に臨床を進めるとしたら、まず誤嚥の問題をVFでスッキリさせます。

その後廃用の問題を叩くため、PTOTによる運動リハを行い離床を先行させていきます。

この時に主治医は運動負荷を考慮し、栄養の再考が必要かと思います。それなので、CVからNGへ変更するのも有りではないでしょうか(まあCVを入れている理由があるのでしょうが)。

STは経口摂取出来るものをVFで確認し、それを可能な範囲で増量していきます。また、発動性を少しでも改善出来るようご家族に面会数を増やして頂く要望を出します。

とはいっても食べたくないと拒否されることもあるでしょうから、そのような日は無理せず経口は諦め、離床に切り替えます。私のところはリハ病院なので、散歩がてらPTOT室が見えるところまで連れて行き、他患のリハビリ風景をみせたりします。

STだからここまでしかやらないとか、やってはいけないと言うことは一切ありませんので、リハ科の人間として諦めないことが肝要です。
これを基本的な戦略として行えばとりあえずの臨床はクリア出来るハズです。
ご質問はゴール設定ですが、ご本人を取り巻く状況も考慮しないといけないので明確なことは言えません。

質問者さんの所属されている施設が急性期なのか、それ以外なのかでも変わってくるはずです。ただ、どこのステージにいても選択肢は限られていて、経口でつき進むのか、経口と他栄養管理との併用を行うのか、経口をやめるのかしかありません。

ゴール設定は答えがないエリアで、何が正しかったのかは後からしかわかりません。情報収集能力と経験が最大の武器となります。その予後予測精度が特に高いのはリハ医なので、近くにリハ医がいれば相談することをオススメします。

本文執筆:新戸塚病院 リハ科ST 粉川将治

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