第4回横浜お口のトラブルのみこみ勉強会で頂きました会場からの質問と回答です。
①
急性期に在院した病院が嚥下機能評価可能である場合は、主治医から在宅医へ定期的な嚥下機能評価を受けるように、診療情報提供書に明記してもらうことが可能です。
評価の出来ない病院であれば近隣で評価可能な施設の情報を伝えてもらうことは可能です。また、在院時に嚥下訓練を実施していた場合は、退院支援カンファレンスやケアマネカンファレンスに担当STや看護師に同席してもらい、嚥下機能の現状及び実施されていた訓練内容の確認をすることもできるかと思います。
その時に家族や訪問看護師が可能で、在宅でも継続しやすいリハビリテーションについての情報を得る事も可能です。少しでも経口摂取をされているなら、食形態や環境設定等(姿勢・介助方法・一口量・摂食方法・禁忌食品・トロミの粘度など)についてのアドバイスも得られると思います。但し、施設によって状況が異なると思いますので、訪問看護師や家族が対象者をとりまく状況をしっかり把握する事が必要と思われます。
②
在宅でのリハビリを継続するには、対象者(理解可能な状態でしたら積極的に)及び介護者が対象者の嚥下状態とリハビリの目的を把握することが重要です。そのためにも訪問看護師や在宅医が対象者の嚥下機能を確実に理解し、適切に指導しなければならないと思います。
在宅医及び訪問看護師、STは対象者と介護する方の生活力量を知り、力量や環境に見合った指導をしていただければと思います。(看護教育の場でも使われている、協同医書出版の「家族生活力量スケール」は看護師はもちろんリハビリスタッフにも有用だと思います。)経口摂取していてもしていなくても、まずは口腔内環境を整えることのメリットを対象者・介護者に理解していただき、日々の口腔ケアや口腔器官運動を目的とした発話(会話)の機会を1日1回でも続けていただくことが重要だと思います。
口腔器官運動については義歯の適合も大切な項目と思います。その場合は訪問歯科の介入も必要と思います。
在宅の場合、介護者に負担が大きいリハビリはなかなか続けられないのが実情だと思います。可能であれば、デイサービスなど外部からの働き掛けや刺激入れの出来る場を活用して、
「していただきたいこと」と「していただけること」の間に乖離がないように支援をする姿勢が必要だと感じます。
①②のようなことに視点を集めながら、対象者に有益な環境を整えていくことが、リハビリ継続のポイントだと感じます。
本文執筆:横須賀共済病院 ST金井枝美