横浜嚥下研究会

漢方を使った口腔ケア

入院当初から嚥下リハでコンサルトされて見に行くと、『じぇじぇじぇ、なんじゃこの口!(◎_◎;)』ということを経験します。
まあ、本来なら口腔ケアは歯科衛生士さんやナースのエリアなのですが、そんなことは気にしません。

さてさて、今日は内科の医師と一緒に取り組んだ易出血口腔ケアのお話です。

症例は70代、男性、在宅一人暮らし、某大学病院から転院されてきました。アルコール性肝硬変にて腹水、四肢の浮腫著明、精神機能はpoorでしたが、受け答えはスムーズ。ここ2ヶ月前から大好きなお酒さえも飲めなくなった、食べることはほとんど出来ていないとのことでした。確かに見た目はガリガリで明らかに栄養状態が悪いことが一目でわかりました。
口腔の状態は…

触れば即出血、本人は触れられただけで強く痛みを訴えるのでナースたちもお手上げだったようです。私もチャレンジしましたが同様の結果が待ってました
オレに触れると血をみるぜ!と言うセリフが似合います

易出血はL/Dが悪いのかと考え、PLTやPT-INRも確認しましたが数値は悪くありませんでしたむっ肝硬変故のものと考えたのですが、今回は違うようです。

ちょうど同日に嚥下回診日だったので同系列施設の歯科医師が口腔内を診察すると口内炎と歯肉炎が酷い状態と説明してくれました。
どうやったら治せるか?と尋ねると毎日地味に口腔ケアをやるしかないけど、この状態から復活させるのはかなり根気がいる作業だよとアドバイスをくれました。推定期間は2-4週ほどかかるのではないかと

そんな話も含めて主治医(内科)と相談をしました。そもそも嚥下評価を出来る口ではないので、まずは口を治すことを優先しようということになりました

主治医は栄養をNG管理としました(入院時ALB1.6)。
そして私の方はある経験を思い出していました。それは父がケモ後の口内炎に悩まされて全く食べることが出来なかったことです。
その方向から調べるとついに見つけました『立効散』。漢方(ツムラ110番)を利用した口腔ケアの紹介が書かれていました。
元々歯科の領域で使われている漢方で、歯痛、抜歯後、口内炎に即効性が高いとのことです。
また、漢方専門外来のサイトにおいては歯肉炎にも効果があるとのこと目さらにハチミツを足してみるやり方も別口で見つけました(ハチミツは粘膜保護作用、抗炎症作用があるそうです)。
うがいで行うやり方を紹介されていましたが、本症例の場合は口腔ケア用溶液を作成し、くるリーナで丁寧にケアを行いました。
1日2回この方法で行うこと8日目、こんな口になりました

クラッカーキレイになったでしょクラッカー
ただ単に口腔ケアをしっかりやっても短期間でここまでの効果は得られなかったのかな?と勝手に妄想しています(一応、歯科医師の診たてと誤差が出ていますので…)。

今回上手くいったのは、主治医が私の考えに賛同してくれて、漢方による口腔ケアを認めてくれたこと、また一方でNG管理をし、栄養状態改善に努めてくれたことが勝因だと思います

漢方口腔ケアの手順ですが、これはオリジナルなので、エビデンスが全くありません。

興味がある方は

yokohamaenge@yahoo.co.jp

までご一報頂ければ、ご参考までに手順を伝えることは可能です。

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